唾液の知られざる働き|お口の健康を守る「天然の洗浄液」を活かす方法<
唾液の知られざる働き|お口の健康を守る「天然の洗浄液」を活かす方法
普段あまり意識することのない唾液ですが、実はお口の健康を守るために非常に重要な役割を果たしています。「最近口が乾きやすい」「虫歯や口臭が気になる」——そんな悩みを抱えていませんか。もしかすると、唾液の分泌量が関係しているかもしれません。この記事では、唾液が持つさまざまな働きと、分泌を促すための生活習慣についてご紹介します。口の乾燥が気になる場合は、歯科医師や医師への相談をおすすめします。
唾液が担っている重要な役割
唾液は1日に約1〜1.5リットルも分泌されているといわれています。この唾液には、お口の健康を守るためのさまざまな機能が備わっています。単なる「水分」ではなく、「天然の洗浄液」とも呼べる存在なのです。
🔹 自浄作用
唾液は口の中を常に洗い流し、食べかすや細菌を除去する働きがあります。この自浄作用によって、口の中は清潔に保たれています。唾液の分泌が減ると、汚れが溜まりやすくなり、虫歯や歯周病、口臭のリスクが高まります。
🔹 抗菌作用
唾液にはリゾチーム、ラクトフェリン、免疫グロブリンなど、細菌の繁殖を抑える成分が含まれています。これらの成分が口の中の細菌バランスを整え、感染症から体を守る手助けをしています。
🔹 緩衝作用(中和作用)
食事をすると、口の中は酸性に傾きます。この状態が続くと歯のエナメル質が溶けやすくなりますが、唾液には酸を中和して口の中を中性に戻す「緩衝作用」があります。この働きによって、歯が酸によるダメージを受けにくくなっているのです。
🔹 再石灰化作用
唾液にはカルシウムやリンなどのミネラルが含まれています。酸によって溶け出した歯のミネラルを補い、修復する「再石灰化」を助ける働きがあります。初期の虫歯であれば、この再石灰化によって進行が止まることもあるとされています。
🔹 消化を助ける作用
唾液に含まれるアミラーゼという酵素は、でんぷんを分解する働きがあります。よく噛んで食べることで唾液と食べ物が混ざり、消化がスムーズに進むようになります。お口の健康だけでなく、胃腸の負担軽減にもつながっているのです。
唾液が減るとどうなる?
唾液の分泌が減少すると、口の中が乾燥した状態になります。これを「ドライマウス(口腔乾燥症)」といいます。唾液の持つさまざまな働きが低下するため、お口のトラブルが起きやすくなります。
| 唾液減少で起こりうること | なぜ起こるか |
|---|---|
| 虫歯が増える | 自浄作用・再石灰化作用の低下 |
| 歯周病が進行しやすくなる | 抗菌作用の低下、細菌増殖 |
| 口臭が強くなる | 細菌増殖、口内の乾燥 |
| 食べ物が飲み込みにくい | 潤滑作用の低下 |
| 味を感じにくくなる | 味物質が溶けにくくなる |
| 口内炎ができやすくなる | 粘膜保護機能の低下 |
「口が乾く」という症状は、単なる不快感だけでなく、お口全体の健康に影響を与える可能性があるのです。
唾液が減る原因とは
唾液の分泌量が減る原因はさまざまです。加齢によって唾液腺の機能が低下することは自然な現象ですが、それ以外にも多くの要因が関係しています。ストレスや緊張状態が続くと、自律神経のバランスが乱れて唾液の分泌が抑制されることがあります。また、口呼吸の習慣がある方は、口の中が乾燥しやすくなります。
服用している薬の副作用で唾液が減ることも珍しくありません。降圧剤、抗うつ剤、抗ヒスタミン剤など、さまざまな薬が唾液分泌に影響を与える可能性があります。糖尿病やシェーグレン症候群などの疾患が原因となっている場合もあります。
唾液の分泌を促す生活習慣
唾液の分泌量を増やすために、日常生活でできることがあります。以下のポイントを意識してみてはいかがでしょうか。
よく噛んで食べる
噛むという動作は、唾液腺を刺激して分泌を促します。現代の食事は柔らかいものが多く、噛む回数が減っているといわれています。意識的に噛む回数を増やすことで、唾液の分泌量アップが期待できます。一口あたり20〜30回を目安に噛んでみましょう。噛みごたえのある食品を取り入れるのも効果的です。
こまめに水分を補給する
体が脱水状態になると、唾液の分泌も減少します。こまめに水分を摂ることが大切です。ただし、カフェインを含む飲み物やアルコールは利尿作用があるため、摂りすぎには注意が必要です。水や麦茶などを中心に、少しずつこまめに飲むようにしましょう。
口呼吸を避ける
口呼吸をしていると、口の中が乾燥しやすくなります。意識的に鼻呼吸を心がけましょう。睡眠中に口が開いてしまう方は、就寝時の姿勢を見直したり、専用のテープを使ったりする方法もあります。鼻づまりがある場合は、耳鼻科での治療も検討してみてください。
ガムを噛む
ガムを噛むことは、唾液の分泌を促す簡単な方法です。虫歯予防の観点からは、キシリトール配合のものがおすすめです。ただし、噛みすぎは顎に負担をかけることもあるため、適度に行いましょう。
唾液腺マッサージ
唾液腺を外側から刺激するマッサージも効果的とされています。主な唾液腺は耳の下(耳下腺)、顎の下(顎下腺)、舌の下(舌下腺)にあります。これらの部分を指で優しく円を描くようにマッサージすると、唾液の分泌が促されることがあります。
口の乾燥が続くときは専門家に相談を
生活習慣を見直しても口の乾燥が改善しない場合、または乾燥がひどくて日常生活に支障が出ている場合は、歯科医院や医療機関への相談をおすすめします。ドライマウスの原因は多岐にわたるため、原因を特定して適切な対処を行うことが大切です。服用している薬が原因の場合は、主治医に相談することで対応できることもあります。
まとめ
唾液は、自浄作用、抗菌作用、緩衝作用、再石灰化作用など、お口の健康を守るために欠かせない働きを持っています。唾液の分泌が減ると、虫歯や歯周病、口臭などのリスクが高まります。よく噛んで食べる、こまめに水分を摂る、口呼吸を避けるなど、日常生活の中でできることから始めてみましょう。口の乾燥が気になる方は、早めに専門家に相談することをおすすめします。唾液の力を味方につけて、お口の健康を守っていきましょう。
※ 免責事項
この記事は唾液と口腔の健康に関する一般的な情報を提供することを目的としています。口の乾燥の原因は個人によって異なりますので、症状が気になる場合は歯科医師または医師にご相談ください。